予備的考察 啓示に関して

『神の啓示に関する教義憲章』
第一章 啓示そのものについて
第二章 神の啓示の伝達
第三章 聖書の神感とその解釈
第四章 旧約について
第五章 新約について
第六章 教会の生活における聖書

序文

1 神のことばをうやうやしく聞き、確信をもって宣言するにあたり、聖なる教会会議は、聖ヨハネの次のことばに従う。
 「われわれは永遠の生命をあなたがたに告げ知らせる。この生命は父とともにあったが、われわれに現われたものである。すなわち、われわれが見たこと、聞いたことを、あなたがたに告げ知らせる。それは、あなたがたも、われわれの交わりにあずかるためである。われわれの交わりとは、父とその子イエズス・キリストとの交わりである」(1ヨハネ1・2〜3)。
そのため、トレント公会議と第一バチカン公会議の足跡に従い、全世界の人々が救いの宣教を聞いて信じ、信じ、希望して愛するように*1神の啓示その伝達についての真の教義を述べる考えである。

*赤字、太字引用者*

1 註
    • 重要な3点
  1. 神の啓示
  2. 神の啓示を傾聴すること
  3. 宣教

上記引用強調部参照

第一章 啓示そのものについて

2(啓示とは何か) 神は、その愛と英知によって、自分を啓示し、また意志の奥義(エフェソ1・9参照)を明らかにしようと望んだ。それによって人々は受肉したみことば・キリストを通じて、聖霊において父に近づき、神性に参与するものとなる(エフェソ2・18;2ペトロ1・4参照)。実際、この啓示によって、見えない神(コロサイ1・5:1テモテ1・17参照)が人々を自分との生命の交わりに招き、これにあずからせるために無限の愛をもって、あたかも共に対するように人間に話かけ(出エジプト33・11;ヨハネ15・14〜15参照)、かれらと住居をともにしている(バルク3・38参照)。この啓示の計画は互いに密接に関連したわざとことばをもってなさった。そのため救いの歴史において神から遂行されたわざは、教えとことばの意味を明らかに証明した。そして、ことばはわざを表示し、その中に含まれている秘儀を明らかにする。この啓示が示す神と人間の救いに関する深遠な真理は、仲介者であり、同時に全啓示の充満であるキリストにおいてわれわれに現われている*2

2 註
    • 聖書箇所引用
      • エフェソ 1・9

秘められた計画をわたしたちに知らせてくださいました。

      • エフェソ 2・18

それで、このキリストによってわたしたち両方の者が一つの霊に結ばれて、御父に近づくことができるのです。

      • 2ペトロ 1・4

この栄光と力ある業とによって、わたしたちは尊くすばらしい約束を与えられています。それは、あなたがたがこれらによって、わたしたちは尊くすばらしい約束を与えられています。それは、あなたがたがこれらによって、情欲に染まったこの世の退廃を免れ、神の本性にあずからせていただくようになるためです。

      • コロサイ1・5

それは、あなたがたのために天に蓄えられている希望を、福音という真理の言葉を通して聞きました。

      • 1テモテ 1・17

永遠の王、不滅で目に見えない唯一の神に、誉れと栄光が世々限りなくありますように、アーメン。

主が人がその友と語るように、顔と顔を合わせてモーセに語られた。モーセは宿営に戻ったが、彼の従者である若者、ヌンの子ヨシュアは幕屋から離れなかった。

わたしの命じることを行なうならば、あなたがたはわたしの友である。もはや、わたしはあなたがたを僕とは呼ばない。僕は主人が何をしているか知らないからである。わたしはあなたがたを友と呼ぶ。父から聞いたことをすべてあなたがたに知らせたからである。

      • バルク3・38

その後、知恵は地上に現れ、人々の中に住んだ。

    • 重要な点

受肉し、福音を述べ伝え、十字架で苦しみを受け、葬られ復活した救い主が啓示の要点であり、考察の対象である。つまるところ聖書とそこに記されたものが問題。

3(福音の予備であるキリスト以前の啓示) 神は、みことばによって万物を造り(ヨハネ1・3参照)、かつ保ち、被造物によって人々に自分自身について恒久的証明を与える(ローマ1・19〜20参照)。その上、神は最高の救いへの道を開くことを望み、人類の最初の親に自分を初めから現わした。かれらの堕落後は、あがないの約束によって、人々に救いの希望をいだかせた(創世記3・15参照)。そして忍耐をもって善を行ない、救いを求めるすべての人に永遠の生命を与えるために(ローマ2・6〜7参照)、絶え間なく人類のことを考えた。予定の時が来て、偉大な民を造るために、アブラハムを呼んだ(創世記12・2参照)。太祖たちの後の時代には、モーセおよび預言者たちによって、唯一の生ける真の神、摂理の父、正義の審判者であることを認め、また約束の救い主を待ち望むようにこの民を教育した。こうして長い世紀にわたって、福音への道を準備した。

*1:アウグスティヌス、『教えの手ほどき』 4,8:PL 40, 316

*2:マタイ11・27;ヨハネ1・14,17;14・6;17・1〜3;2コリント3・16;4・6;エフェソ1・3〜14参照