中川明「妖怪の棲む教会」

 上記の書籍を読んで。
 タイトルから内容を想像すると違いに少し驚くと共にどうにか何らのかいこのタイトルは・・・と思わなくもないのですが、内容は戦後から現在までのカトリック教会のあり方を真摯に分析し、それらの問題点に対して著者が提言をする形で締めくくられています。
 問題点の把握には同意する点が多いものの(それは無論多くの場合“事実”であるか同意せざるえない)ただ問題の分析とその分析から出される提案には多くの点で同意しかねる。正確に述べると、60年代後半から進む、日本において一つの継起となるのが大阪万博であると多くの論者が指摘するところのポスト・モダンの進展、つまりは『大きな物語の失墜』と呼ばれ議論される事柄に対して教会が、何よりも神学が何ら対応できなかったのが原因ではないのか?
 日本版のカテキズムである『カトリック教会の教え』の序言において糸永師は、ポスト・モダンにある日本社会において信仰を生きるための書物として本書(カテキズム)が用いられることを望むと述べているが、その内容に関しては残念ながらモダンなものであり、全く現状直面する種々の問題に対応しているとは思えない。