メモ

マリタン,J

1882-1973
フランス新トマス主義哲学者.パリでプロテスタントの家庭に生まれる.実証主義に強い不満を感じていたが、1901年コレージュ・ド・フランスにおけるベルクソンの講義に出会い傾倒.また神秘主義的作家L.ブロワの導きによって06年、ユダヤ系の妻ライサとともにカトリックの受洗.08年トマス・アクィナス神学の研究を始め,知性の機能をめぐる『ベルグソン哲学』(13)の批判に結実.以後『認識の諸段階』(32)など多くの著作を出版.19年から始めた自宅の集会は,ジルソン,マルセル,ムーニェ,モーリッヤックなだが参加し,フランスのトマス研究の中心となった.40年夫人とともにアメリカに亡命し,プリンストン大学などで教えた.45-48年駐ヴァティカン大使,妻の死の翌年61年に帰仏.トゥールーズの<イエスの小さい兄弟会>に入会し、修道院で晩年を全うした.〔中村弓子〕 岩波キリスト教辞典より

吉満義彦

1904-45 
昭和10年代のカトリックを代表する神秘思想化・哲学者.1927年,岩下壮一の影響のもとに内村鑑三の無教会主義から改宗.その推薦でフランスに留学し,J.マリタンに師事.31年帰国,上智大学教授のほか,東京公教神学校,東大倫理学科にも出講.アウグスティヌス,トマス・アクィナスに拠りながら,カトリック的西洋中世精神史の普遍的意義を強調し,神を見失った近代的人間の悲惨を指摘した.神秘思想家でありながら,同時に愛による「超越的内在」の立場から同時代日本の問題に積極的に発言し,小林秀雄らの座談会「近代の超克」にも参加した.主要作品は,いずれも死後の著作集全4巻(みすず書房)、全集全5巻(講談社)に収録.〔半澤孝麿〕 岩波キリスト教辞典より

メモ
吉満義彦は遠藤周作の寮の寮長であった。吉満の影響を受け遠藤はマリタンを読んだ。