例外状態 ジョルジョ・アガンベン

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例外状態と主権とのあいだの本質的な隣接関係は、カール・シュミットによって『政治神学』(一九二二年)によって確定された。*1
公法学における例外状態の理論は今日においてもなお欠如している。法学者たちも公法学者たちも、この問題を純粋に法理論的な問題というよりはむしろひとつの事実問題とみなしているようである。
*法学、公法学において「例外状態」はどのように取り扱われているのか?*
*純粋に法理論的問題とは何を意味するのか?事実問題とは?*
例外状態という用語の定義そのものが、それが政治と法とのあいだの境界に位置していることによって困難にされている、と主張する者がいる。
普及している理論によれば、例外状態は「公法と政治的事実とのあいだの不均衡点」をなしており(Saint-Bonnet,2001,p.28)、そうした不均衡点は―内戦や蜂起やレジスタンス活動のように―「法的なものと政治的なものとが交叉する両義的で不確かな縁に」位置しているという(Fontana,1999,p.16)。