論文の作成について

 今日は午後から聖歌隊のクリスマスコンサートの手伝いがある。それはよいとして論文に関して少し書いておく。ブログにしてもそうですが、修論終わんないとか終わったとか、卒論どうしようとか・・・来年の卒論なら良いのですが、今年中に提出の卒論だった日には…。
 兎も角として、卒業に卒業論文が必要な学科は卒業の為にそれを書かなければなりません。ここで少し考えてみると、何故に卒業論文が科せられる学科とそうでない学科があるのか?と疑問が湧いてきます。大人の事情が大半だろうから特に考えませんし、正直卒業論文の出来次第で文字通り卒業の可否を決めてくれたらどんなに楽かと前々から思ってる人間からすれば何が大変なのか若干理解ができません。なんと言うか、なんて酷い人間だという声が聞こえてきそうですが。
 学科特に学問によって論文の具体的な形式から論文を書く際の方法やらが大きく異なってきますので、やはりどのように論文を書けばよいかはそれぞれの指導教官に聞くのが適当であると思います。これ以上何が言えるのだろうか。
 ですが、あくまで参考となる書籍の一冊ぐらいは紹介できます。

論文作法─調査・研究・執筆の技術と手順─ (教養諸学シリーズ)

論文作法─調査・研究・執筆の技術と手順─ (教養諸学シリーズ)


 哲学、神学で論文を書く際には参考になります。卒業論文はそもそもどういうもので、なぜあるのか?から始まってテーマの選びかた、調査方法、ノート・カードの作成等々と進んでいきます。エコは『薔薇の名前』でご存知の方も多いと思いますが、中世の哲学・神学で論文を書いたりしていてそれはそれでまた読んでいて面白いものです。機会があれば紹介したいのですが。
 
 あくまで個人的な見解ですが、講義で作成したレポートを草稿としながら論文をまとめるのがカリキュラムとしては理想であると思います。そのためには論文を作成するためにどうしても必要な知見を身につけさせ、かつその知見と自身の問いを連関させ、それを講義を節目としてレポートと言う形でアウトプットさせていく。そのうえでゼミなりで発表し他の読者から批判なりを受けて草稿に肉付けしながら進んでいく。あくまでも理想論ですが。

 これではあれなので箇条書きで役に立ちそうなことを列挙しておきます

  • まず、字数、註の付け方、提出日時、綴じ方等々概要を確認しましょう

 字数と日時がわからなければ研究の計画が立てることができません。綴じ方、註のつけ方は瑣末と言えば瑣末ですが、註に関してのフォーマットは後で訂正がめんどくさいことになるので初めに確認しておきましょう。

  • 指導教官、ゼミの確認

 まずどのような論文を書くか定かでない場合でもまして定かな場合はなおのこと現在学士論文の指導に当たれる教員がどれだけいて、かつそれぞれの教員が何を指導できるのか確認しておきましょう。それはどこで確認するのかですが、各大学の教員データーベースから確認してください。きちんと書いている人からそうでない人までいますが、どのような研究を今までしてきて、今しているのはどのような領域についてであるかが確認できます。一つポイントを述べておくとそこに書いてある所属学会と言うのを頭の片隅においておきましょう。後でたぶん役にたちます。

  • 各領域を決めましょう、あと必然的に指導教官も

 まず決めるのはテーマではなくてどの分野についての論文を作成するかです。上記の教員の専門にしてもそうですが、本来カリキュラムや講義がなぜあるのかですが、その理由はそれぞれの学問の内側にどのような領域があるのか学生に理解してもらうためです。学科によっては専攻があったり、ゼミがあたりと明確に領域がわかるようにカリキュラムを組んでいるところもあると思います。自分の興味関心のある領域を選べばそれで大丈夫です。
ついでに述べるとできの良い概説書を読むことでどのような領域があるか理解するための手助けになります。問題は何が良い概説書なのか、それを探せるか、それを自力で読んで理解し、頭に放り込めるかです。

  • テーマを決めるのではなくて、既にあるテーマが何であるか知りましょう

 さてここから漠然とテーマを決めようとしてもうまくいきません。うまくできる人はよく勉強しているか、勘の良い人か、運の良い人かです。研究に必要なのは上記の三つでしょう。それは良いとして、ある領域の中には既に幾つかの問題とされ研究されているテーマがあります。まずはそれがどのようなものであるか知る所から始めましょう。と言っても、これは既に終わっているはずです。所謂専門科目はそれぞれの領域の中にどのようなテーマがあって、どのような来歴でそのテーマが問題とされ研究されてきたかを学生にわかってもらうためにあります。さあ、真面目に取った講義ノートやくしゃくしゃになってどこに行ったか分からないレジュメがここで役に立ちます。レジュメやノートは単位をとったらそれで終わりの代物ではありません。無論、頭の中にそれらの知見が入っているならノートもレジュメも不要ですが。
ついでに言うと専門書や論文を読んでいたら専門講義の手助けになります。ただ内容が偏ることにだけは気をつけましょう。

  • 幾つかあるテーマからどれか一つを選びましょう

どのようなテーマがあるか学ぶ過程で気になるテーマが出てくるのではないでしょうか?ないとしたら…とりあえず書きやすそうなテーマを選びましょう。個人的には書きやすそうなテーマを決めるほうが難しいと思いますが。あと、その際忘れないようにしておかなければならないのは、第二候補のテーマはきちんと取っておきましょう。第二テーマは最後までどちらにしようと悩んだテーマでかまいません。その代わりあるテーマに決めた場合、寄り道はしないこと。ではなぜ第二テーマを残すのかですが、一つのテーマを曲がりになりにも論文を書こうと書籍を読んで論文を読んでとしていると一つのテーマに飽きてしまうことがあります。これは好奇心で研究する場合の一番怖い点です。普通の調べ事や読み物であれば飽きればやめればよいのですが、論文は期日までに書かないとならないものです。つまり、今まで費やした時間は取り返しようがないものです。その際に第二のテーマが重要になってきます。まず行なうことは第二のテーマについて大急ぎで調べ始めること、調べる際に重要なのは常に第一のテーマで調べた内容や知見、視座を意識し続けることです。つまり興味のある(少なくとも二番目に)テーマを調べつつ、第一のテーマとの関係を意識することで今までの時間とそれによった成果を捨てずに利用することができます。ここでなぜ先ほどある領域の中からテーマを選ぶようにと述べたかも理解して頂けるかと思います。ある領域に区切って、制限することによって選ぶテーマはその領域中で有機的に連関しています。つまりテーマの乗換えが可能だからです。ここでは飽きた場合として書きましたが、あるテーマ方向で進めたとき必ず先行研究の膨大さと自分の着眼が既に研究された後であるなどというのは間々あることです。その際に自分のもう一つの関心やテーマから別の視点から考察してみることは非常に有益なことです。それでもダメなときはダメなとき考えましょう。