理性を正しく導き、学問において真理を探究するために
良識はこの世でもっとも公平に分け与えられているものである。…中略…わたしたちの意見が分かれるのは、ある人が他人よりも理性があるということによるのではなく、ただ、わたしたちが思考を異なる道筋で導き、同一のことを考察してはいないことから生じるのである。 p8 デカルト『方法序説』岩波文庫
わたしの目的は、自分の理性を正しく導くために従うべき万人の方法をここで教えることではなく、どのように自分の理性を導こうと努力したかを見せるだけなのである。教えを授けることに携る者は、教える相手よりも自分の知性がまさると見るのが当然だ。どんなに小さな点においても誤るところがあれば、その点で非難されることになる。p11 デカルト『方法序説』岩波文庫
わたしは、われわれの神学に敬意を抱き、だれにも負けないくらい天国に到達したいと望んでいた。しかし、天国にいたる道はどんな無知な人にも、もっとも学識ある人に劣らず開かれていること、天国へ導く啓示された真理はわれわれの理解力を超えていること、それがきわめて確かなものであると学び知り、そうなると、これらの真理をわたしの脆弱な推論に従わせる勇気などなかっただろうし、それらの真理の検討を企てて成功するには、天からなにか特別な加護を受け、人間以上のものであることが必要だ、とわたしは考えていた。 pp15-16 デカルト『方法序説』岩波文庫
哲学については、次のこと以外は何も言うまい。哲学は幾世紀もむかしから、生を享けたうちで最もすぐれた精神の持ち主たちが培ってきたのだが、それでもなお哲学には論争の的にならないものはなく、したがって疑わしくないものは一つもない。 p16 デカルト『方法序説』岩波文庫
ほかの諸学問については、その原理を哲学から借りているかぎり、これほど脆弱な基礎の上には何も堅固なものが建てられなかったはずだ、と判断した。 p16 デカルト『方法序説』岩波文庫
わたし自身のうちに、あるいは世界という大きな書物のうちに見つかるかもしれない学問だけを探究しようと決心し、青春の残りをつかって次のことをした。旅をし、あちこちの宮廷や軍隊を身、気質や身分の異なるさまざまな人たちと交わり、さまざまの経験を積み、運命の巡り合わせる機会をとらえて自分に試煉を課し、いたるところで目の前に現われる事柄について反省を加え、そこから何らかの利点をひきだすことだ。というのは、各人が自分に重大な関わりのあることについてなす推論では、判断を誤ればたちまちその結果によって罰を受けるはずなので、文字の学問がする学者が書斎でめぐらす空疎な思弁についての推論よりも、はるかに多くの真理を見つけ出せると思われたからだ。学者の思弁は、それを真らしく見せようとすればするほど、多くの才知と技巧をこらさねばならなかったはずだから、それが常識から離れれば離れるほど、学者が手にする虚栄心の満足もそれだけ大きい。それ以外には何の益ももたらさない。だがわたしは、自分の行為をはっきりと見、確信をもってこの人生を歩むために、真と偽を区別することを学びたいという、何よりも強い願望をたえず抱いていた。 pp17-18 デカルト『方法序説』岩波文庫
他の人びとの習俗を考察するだけだった間は、わたしを確信させるものはほとんど見いだされなかったし、そこにも、前から哲学者たちの意見のあいだに見られたと同じくらいの食い違いがみとめられた。したがって、そこからわたしが引き出した最大の利点は次のことだった。つまり、われわれにはきわめて突飛でこっけいに見えても、それでもほかの国々のおおぜいの人に共通に受け入れられ是認されている多くのことがあるのを見て、ただ前例と習慣だけで納得してきたことを、あまり堅く信じてはいけないと学んだことだ。 p18 デカルト『方法序説』岩波文庫
このように数年を費やして、世界という書物のなかで研究し、いくらかの経験を得ようと努めた後、ある日、わたし自身のうちでも研究し、とるべき道を選ぶために自分の精神の全力を傾けようと決心した。このことは、自分の国、自分の書物から一度も離れなかった場合にくらべて、はるかにうまく果たせたと思われる。 pp18-19 デカルト『方法序説』岩波文庫
- 一年たって考えること
昨日は卒業式の学校が多かったみたいで、街でも卒業式帰りかな?と思われる人を見かけました。大学の入試もそろそろ決まってくる時期ですね。春、まだ少し寒いんですが、やはり節目の季節です。去年の今頃の日記を読み返していると合格が決まって、部屋も決まりという感じでした。あれからもう一年がたつのかと思うと色々と考えることがあるので書くことにします。