1950年以前のカトリシズム研究俯瞰のためのメモ 研究論文のアーカイブ化に向けて

*旧仮名・旧字は適宜変更

<論説>
平和を求めて       ロマノ・グァルディニ著
ネオヒポクラチズム -現代医学の一傾向-   三浦岱榮*1
キリスト教哲学の源泉を探りて  霜山徳爾*2著 *Wiki*(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%9C%E5%B1%B1%E5%BE%B3%E7%88%BE
ソヴィエト文学の危機   C・ウィルツコウスキー著
キリスト教女性観について 佐伯わか子*3
リルケの天使  永野藤夫*4
学者にして聖人 -コンタルド・フェルリーユー-  滋賀秀三*5著<文藝>
ルフレッド・デブリンの帰郷 ヘルベルト・ゴルスキー著 戸川敬一*6訳<書評>
リヴィエール著「新エテュード」 ジャンソン著「道徳問題とサルトルの思想」 大西克禮著「自然感情の類型」 ラルマン著「霊的生活指針」 デュモリン著「全き人間」 永井隆著「ロザリオの鎖」 ホイヴェルス著「鶯と詩人」 ウォルシュ著「全体力」<思想瞥見>
現代ドイツの哲学的位相
キリスト教的社会観
現代オプティミズムの一面

  • カトリック思想 秋季号 第二十八巻 第三号 1948年

<論説>
カトリックヒューマニズムと大学の理念 田中耕太郎著
マルキシズムの世界とカトリシズム ハインリヒ・デュルモリン著
ベルチャエフ Cウィルツコゥスキ著
恩寵と自由 野田時助著
シェークスピアの世界観 ニコラス・ロゲン著
完全を求めて ペーター・リッペルト著 山本愛子訳
左派の幻滅 ヨゼフ・ロゲンドルフ著
社会学の主体的動向 岡田純一著
フランス・カトリック文学その後 遠藤周作著<創作>
一科学徒の回心 芿水澄夫著<書評>
シルヴァルタルーカ著「現代のトマス」 ウォルシュ著「ダンテ・アリギエリ」 バルト著「十九世紀のプロテスタント神学」 ラウレス著「高山右近の生涯」 ルバック著「米国の法哲学」 ローラン・ゴスラン著「聖トオマス・アキナスの政治理論」 ディルクス著「第二の共和制」<思想瞥見>
カトリック教会と政治活動 
無産階級と愛の十字軍
公正賃金について

編集後記

 カトリシズムの世界観にたって総合大学の理念とあり方を闡明せられた巻頭の田中博士の論稿は現下のわが国に進行中の学制改革に進むべき指標を明示された。社会全領域における根本的改革は正しい教育理念の確立によってのみはじめて完遂される。目前のことばかりに気をとられ、表面的な形式的制度の改革に急いで根底に流れる世界観的基底にまで眼をむけることを怠る近視眼的視野は将来に禍根を残すもとである。次に最近のソヴィエト哲学隗の動向についての情報にもふれられ、マルキシズム世界に対して哲学的批判を加えられたデュモリン教授の論稿と、現代世界の非人間化的過程に対して警鐘を打ち続け、最近パリで客死した現代の最も鋭敏な予言的哲学者ニコライ・ベルヂャエフについての優れた文学的素描とは共に大きな興味を喚起するであろう。
 創作の欄に掲載した「一科学徒の回心」は真摯な一自然科学とのたどった信仰への歩みを客観的に心情的に綴ったありのままの告白であり、多くの求める魂に示唆するところ少なくないと信ずる。ヨーロッパやアメリカの最新の思想的動向に近著の米英独仏カトリック誌や書籍を通じて接しえることは現在本誌の最も特徴とするところである。更にそこに今後カトリシズムを確立すべき日本の思想的教会的基礎についても謙虚にして正確なる認識が要求されるであろうが、知識層の協力によって順次この方向にも本誌が寄与できる日も遠くはあるまい。(岡田純一)

  • カトリック思想 夏季号 第二十八巻 第二号 1948年

<論説>
じゅるなる・めたふぃじっく 吉滿義彦著
国際法と国際平和との道徳的基礎 エドマンド・A・ウォルッシュ著
ディルタイの世界観類型 高橋憲一
フランチェスコ的中世 大澤章著
(社会評論)現代無宗教の白書 小林珍雄著
フランシスコ・スワレス ヴァン・オーヴルメーレン著
フランスにおける最近のヘーゲル研究 小松茂
ヒューマニズムの現代的諸相 近道友信著
独文学はナチス化されたのか ハンス・ミュラー<創作>
永遠の愛に結ばれて(続)-アリス・オレ・ラブリューヌの日記- 柳宗玄訳<書評> 
ハロウェル著「イデオロギーとしての自由主義の没落」 野村良雄訳 グイゴ著「瞑想録」 吉滿義彦著「文化と宗教の理念」 ホイヴェルス著「神への道」 ホイヅァンガ著「武器黙するならば」 ブリット著「地球をめぐりて」<思想瞥見>
モーリアックのサルトル
戦後ドイツにおける「自由」社会主義の台頭
資本家的攻勢と組合

編集後記

 巻頭に故吉滿義彦教授の「じゅるなる・またふぃじっく」を掲載できたことはわれわれの大きな喜びである。故教授が自らの思想の意識の一端を描かれたこの未発表の日記は、実存哲学が云々されている戦後の今日の精神的状況において、われわれに「永遠の決意」を迫ってやまない。読者と共に本稿掲載に御盡力下さった方々に深く感謝したい。
 前号に好評を博したアリス・オレ・ラブリューヌの書記「永遠の愛に結ばれて」は今号に継続、完結された。
 原理的、現実的にカトリシズムをこの国の知識階級に闡明せんと念ずる本誌に対して、今まで多くの読者から常に示唆に富む御批判を頂いてきたが、復刊以来発行部数も順次増加し、本年に入って更に一段の飛躍をとげたことは既にお気づきのところと思う。本誌に寄せられた皆様のご支援に対して心から感謝すると共に、この際更に多くの具体的な御高見を寄せられることをお願いしたい。例えば、今まで最も興味を覚えた論説、将来本誌の発展すべき方向、書評、思想瞥見等の啓蒙的な試みについての御希望、等々の問題について編集部宛てお便り頂ければ幸甚と存ずる次第である。(岡田純一)

  • カトリック思想 春季号 第二十八巻 第一号 1948年

<論説>
ギリシア精神とカトリシズム ヘルマン・ホイヴェルス著
Vita Nuovaにおける現実と象徴 大澤章著
デカルトの思想的風貌 小松茂
マルクスと現代精神 トーマス・P・ヘルツオグ著
原子における自由と人間における自由 ヨハネス・ジーメス著
復活祭劇 永野藤夫著
キリスト教的芸術論の問題 野村良雄著<創作>
永遠の愛に結ばれて-アリス・オレ・ラプリューヌの日記- 柳宗玄訳<書評>
デュリン著「近代思想と基督教」 ジルソン著「中世における理性と啓示」 ジェームス著「福音を通じてローマへ」 ダルズ著「聖寵への証明」 田中耕太郎著「法家の法実証主義」 ソロウキン著「困窮における人及び社会」 ゲッペルト編「基督教と社会再建」<思想瞥見>
フランスとその新しい道
現下ベルリンの精神的状況
信仰の一燈

編集後記

 

装いを新たに本年の第一号をお送りする。再建の暁光がほのみえつつあるとはいえ、真の「新生」はまだほど遠い。しかしわれわれの行く手はただひとつである。古典ギリシャ精神の帰結し、待望せしもの、信仰の中世期を貫いて流れ来たったもの、神を離れた近代の新たなる出発のための原動力たるべきもの、それこカトリシズムに他ならない。この意味で巻頭のホイヴェルス師のデカルトについての省察は熟読さるべきであろう。米国のカトリック総合誌 Catholic Worldより転載し得たニールのマルクス人物批判も方法的に問題もあろうが、示唆するところ多い優れたものであると信ずる。
 創作には柳氏の美しい訳筆によって「永遠の愛に結ばれて」を得た。真の人間的な愛が超自然的な美しさに連なっていることを示しているこのフランス一女性の手記こそ、キリスト教的夫婦愛の典型をわれわれに教えてくれる貴重なる記録である。なお本稿は来号に継続掲載される予定である。
 故吉滿義彦教授のいわれたように、「新たなる時代には新しき誤謬も含まれていると同時に新しい真理もまた開示されている」とすれば、読者諸賢の御協力を心からお願いする次第である。(岡田純一)

*1:クロード・ベルナール『実験医学入門』の翻訳を手掛ける。医学者、精神医学

*2:『夜と霧』の翻訳を手掛ける。心理学者

*3:聖心学院英文科卒業。元英知大学教授。ハナ・グリーン『分裂病の少女 デポラの世界』などの翻訳

*4:横浜大学名誉教授。2002年帰天。ドイツ演劇を中心としたヨーロッパ史研究

*5:日本学士院会員 http://www.japan-acad.go.jp/japanese/members/2/shiga_shuzo.html 東京大学名誉教授。2008年帰天。

*6:上智大学名誉教授。ドイツ文学研究。http://www.sophiakai.gr.jp/jp/modules/history3/content/index.php?id=3 http://www.sophiakai.gr.jp/jp/modules/history3/content/index.php?id=4